最高の一冊

書籍紹介。あなたにとっても最高の一冊を。

八日目の蟬(角田光代)

今週のお題「プレゼントしたい本」

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この「プレゼントしたい本」という今週のお題は先週から始まっていて、引き続き今週も、ということで2週も続いている。それほどこのテーマが人気なのかな。

 

実はいま紹介しているのは、昔読んだ本の棚を「うーん」と眺めて、その時に目が止まったものを紹介している。といった風なんだけれど、さっきこの「八日目の蝉」の背表紙を見て慌ててキーをタイプしている。ぜひとも読んで欲しい本の一冊だからだ。

 

内容はというと、道ならない恋愛。要は不倫をしていて、不倫相手の妻が妊娠する。しかし、自分はというと妊娠が望めない身体。生まれた赤ん坊をひと目だけ見ようと不倫相手の家に忍びこみ、顔を覗き込むと微笑む赤ん坊。抑えられない衝動。そのまま抱き抱えて飛び出してしまった。

 

これは長い長い物語の、ほんの一部だけれど、もう、これだけで色々と考えさせられる部分があるのではないだろうか。これだけの情報だと善悪がはっきりしている。だが、そんなものがこの世にあるだろうか。いや、きっとない。

 

読んでいるうちに、あなたの立場は二転三転して、悪いこととは…。善いこととは…。親子とは…。と考えを巡らせることになると思う。

 

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僕は明日、昨日のきみとデートする(七月隆文)

今週のお題「プレゼントしたい本」

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台風が去ってから少し涼しくなってきましたね。夜なんかは虫の鳴き声が聞こえてきて、秋が来たことを実感します。

 

そういえば今日ふと空を見たらいわし雲が広がっていて小さい秋を見つけてしまいました。みなさんの秋を感じるものは何でしょうね。

 

 

 

 

 

さて、今日紹介したい本は「僕は明日、昨日のきみとデートする」という作品。

作者の七月隆文というかたはライトノベル出身の作家のようで、この作品も読みやすく書かれている。それは決して内容が無いというわけでは無くて、まだ活字に慣れていない人にも楽しく読むことが出来て何らかの示唆を与えてくれるということだ。

 

 

肝心の内容はというと、雑にジャンル分けするなら恋愛小説という括りに入るだろう。

主人公の"ぼく"とヒロインの"彼女"は運命的な出会いでもって惹かれあい、同じ時間を過ごすのだけれど、彼女には秘密があった。といったところか。

 

 

ありきたりな設定だな。と思われるかたもいることと思う。僕もそう思う。

 

しかし、さすがはライトノベル出身の作家。やや強引なSFのような要素によってかき乱される2人の関係に、きっとみなさんも目が離せなくなることだろう。

 

 

そして、もし次バスに乗る事があったらきっと妄想してしまうに違いない。悲しい運命を背負ったその人に会うことを。

 

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レ・ミゼラブル(ヴィクトル・ユーゴー)

今週のお題「プレゼントしたい本」

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僕の住んでいる地域にも台風16号がやってきていて今も家のガラス戸を叩いてる。土仕事をしていて汚れていたベランダが綺麗になるかも。

 

 

 

 

さて、そんな悪天候の日のお供におすすめする小説は「Les Miserables」。言わずと知れたフランス文学の名著。読んだことがなくても名前は聞いたことがあるという方もいるのではないだろうか。

 

それもそのはずでこの作品はミュージカルとしてブロードウェイなどで公演されているほか、ヒュー・ジャックマンアン・ハサウェイなどのハリウッドのビッグネーム達が歌も含め演じ、映画化もされている。もちろんDVDもレンタルされている。

 

内容は、罪人の一生をかけた贖罪、赦し。母の愛と人生の過酷。若者の友情、恋愛、死。

 

色々な要素が詰め込まれている。それは決して雑多に押し込まれているものではなくて、整然と仕舞いこまれている要素である。

 

 

この作品、出版社の違いもあるが文庫にして7冊はある超大作。さらに外国の本ということもあり固有名詞はことごとくカタカナ。それに、意味があることなのだけど脱線というか、よく話が横道に逸れるのだ。これでは途中でリタイアしてしまってもおかしくはない。

 

そこで角川文庫のものをぜひ読んで欲しい。ストーリーの大筋やメッセージを失わせることなく上下巻に濃縮されている。

 

 

DVDを見たところ、こちらも完成度が高くて情感たっぷりに歌い上げられ、紡がれていくストーリーはきっとあなたの琴線をも震わせるだろう。

 

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精霊の守り人(上橋 菜穂子)

今週のお題「プレゼントしたい本」

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本日2度目の読書感想。気温はまだまだ夏でも

立秋を過ぎて暦の上では秋だから読書意欲が湧きます。

 

 

 

 

作品の感想に入るまえに作者の紹介を。

 

上橋菜穂子さんは大変有名な作家さんで、作中でよく動物が出てきますよね。精霊の守り人以外の著書は「獣の奏者」や「鹿の王」。獣の奏者は少し前にNHKでアニメが放送されていて、鹿の王は本屋大賞を受賞しました。どちらも長編で読み終わるのに時間はかかるけれど、一度読み始めたら止まりません。一読の価値は充分です。

 

 

さて、前置きが長くなりました。

 

そもそもこの精霊の守り人は児童文学として沢山の子ども達に読まれている作品です。

 

それは子どもが成長し大人になり自立していく過程。発達の段階によって誰しもが抱える悩みや不安。それらを乗り越えるヒントが精緻な描写によって随所に散りばめられているからだと思う。

 

そしてこの作品は大人にとっても沢山の教訓を与えてくれる。

 

いきなり飛び込んでくる小さな命。守っていかなければいけないけど突然親になれるわけではない。そんな普遍的な苦悩。一緒に成長していくことの喜び。手元から離れて行くときの寂しさ。そういった親心というものを教えてくれるだろう。そして分かち合えるだろう。

 

この上橋菜穂子さんの書く物語は説教臭くなく、多くのことを優しく、ときに厳しく教えてくれる。僕の大好きなこの本に興味を持って頂けたら嬉しく思う。

 

ps.  綾瀬はるかさん主演で連続ドラマが放送されていたようです。2017年1月からはシーズン2始まるようで、僕は見れていないですが、そちらも好評のようです。

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何者(朝井リョウ)

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今日ご紹介したい本は「何者」先回と続いて映画化される話題の本。なぜそういっものばかり紹介するのか。それは僕がミーハーあるということ以外の何者でもない。

 

 

 

さて、この朝井リョウという著者が最初に世間に周知されたのは桐島、部活やめるってよ」からだろう。若者の、集団から生まれる同調や圧力、階級などの描写がとても生々しい。

 

この「何者」も例外ではなくてそうした苦悩を抱える若者。とくに就職活動というイベントによる嫉妬や虚栄を、ありありとさらけ出している。

 

これからの人生を左右し、就職先の名前によって一方は内定したというだけであたかも名誉や権力まで勝ち取った気になり。もう一方では自分の価値など無いものと思い込んでしまう。

 

少し前の僕自身が身に覚えのある感情や行動を見事に登場人物がなぞっていくので過去の自分を省みてしまった。

 

これから就活に挑もうとするあなたや、今まさにこういった状況に置かれているあなた。そしてもう社会人として働いているあなた。誰が読んでも考えさせられる一冊だと思う。

 

あなたの周りにいる、もしくはあなた自身が心当たりのある人物に思い切り感情移入してほしい。

 

最近この「何者」の続きというわけではないがスピンオフ作品として「何様」が店頭に並んでいる。またの機会に紹介したい。

 

君の膵臓をたべたい(住野よる)

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今週のお題「プレゼントしたい本」

ということで奇しくもこのブログにぴったりのテーマ。記念すべき一冊目は映画化で話題の「君の膵臓を食べたい」

 

背表紙の目を引く強めの文言が気になり手に取った。
綺麗でアニメのような表紙がライトノベルのような雰囲気。気にせず読み進めると、生と死。なかなか重いテーマでなるほど読み応えがある。

 

胃がもたれるようなテーマを扱っているけれど、どんどん文字を消化できるのは登場人物の魅力だと思う。他人に興味を示さない優柔不断な僕。はつらつとして明るい、病を背負った彼女。交わることのないはずだった2人がどうやって運命に向き合っていくのか、その行く末をぜひ見届けて欲しい。

 

 

生きることの輝き、楽しみ、

そして、その理不尽を考えさせられました。